更新日: 2019.07.05 その他資産運用
友達が「国債は最も安全な金融商品だよ!」本当? デメリットも知っておこう
そのため、投資初心者でも、興味を持ったり、周りから勧められることもあるかもしれません。ときには「預貯金よりも安全」と言われることもある国債ですが、本当にそうなのでしょうか。
今回は、個人が資産運用の手段として国債を選択した場合の、リスクやデメリットについて詳しくお伝えしたいと思います。
国債って何?
国債とは、元本を保証し、一定の利息を付けて国が販売する債券のことです。
たとえば株式などはあくまで「出資」を目的としているため、投資したお金の一部または全部が返ってこないことがあります。これに対し、債券はお金を「貸す」ものなので、国が破綻しない限りは元本が保証されます。これが、ほかの金融商品との違いです。
最低金利の0.005%を保証しているので、銀行預金(一部ネット銀行など高金利の預金を除く)と比べて利回りが高く、比較的リスクの少ない運用ができること、また、個人向け国債であれば1万円から購入できることもメリットと言えます。
国債には種類がありますが、ここでは個人が日本の国債を購入する場合について考えたいと思います。
・個人向け国債
個人向け国債は、個人に限定した国債で、法人は購入することができません。
元本保証や最低金利保証、途中解約が認められているといった個人にとってメリットが多いことが特徴で、3年・5年・10年の期間設定があります。3年と5年は固定金利ですが、10年は変動金利になっていて、インフレのリスクにも対応しています。
・新窓販国債
新窓販国債は、個人のほか法人も購入することができる国債ですが、途中解約は認められていません。売却する際には、市場での売却になるので、時期によっては損失が出る可能性があります。
2年・5年・10年満期の期間設定はありますが、すべて固定金利です。
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国債のリスクとは
国債は、一般的にリスクが低い安全な商品と言われるため、たとえば退職金などをただ貯金せずに運用を考えようかという方なども選択肢に入れることがあると思います。
FXや株など、ほかの金融商品に比べて心理的なハードルも低いかもしれません。しかし、国債にも主に以下のようなリスクがあることを知ってから検討するようにしましょう。
・金融変動リスク
国債には固定金利と変動金利があり、固定金利の場合は購入したときの金利が満期時まで適用され、変動金利の場合は半年ごとに金利が見直されます。
固定金利にした場合、もし市場の金利が上昇したときには、そのぶんの金利を受け取ることができません。
また、変動金利にした場合は、半年ごとに金利が見直されるため、金利が下落すると本来受け取れるはずの金利が減ってしまうことになります。
このような「金利変動リスク」を抑えるためには、金利が高い水準にあるときには固定金利を選択し、低いときには変動金利を選ぶといった対策が必要でしょう。
・信用リスク
また、国債は国が発行しているので、国の財政が滞り、さらには破綻してしまって元本が返ってこない可能性もゼロではありません。このことを「信用リスク」と呼んでいます。
国の信用リスクについて、格付け機関による長期的な債務に対する支払い能力についてランク付けした「信用格付け」というものがあります。
Moody’s(ムーディーズ・インベスターズ・サービス)、S&P(スタンダード&プアーズ)、Fitch Ratings(フィッチ・レーティングス)が三大格付け機関と呼ばれており、国内においては、JCR(日本格付研究所)、R&I(格付投資情報センター)といった格付け機関があります。この信用格付けのランクが低くなるほどその国が債務不履行を起こす可能性が高くなります。
2018年4月に、S&Pが日本政府の長期債務格付けの見通しを「安定的」から「ポジティブ」に引き上げたり、8月にはR&Iが日本国債の格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」から「安定的」に引き上げたというニュースがありました。
「日本経済の成長率の見通しが想定よりも改善しており、財政健全化に向けた課題は山積みではあるが、状況は好転している」という見方が強くなっているようです。そうはいっても、日本の信用ランクは、ほかの先進国に比べて決して高くありません。今すぐに国の財政が破綻しなくても、「リスクがない」とは言い切れないことを知っておくべきでしょう。
こんなデメリットにも注意
国債は3年、5年、10年の満期がある商品ですが、購入後1年以内は換金できません。
また、満期に満たないうちに換金する場合には、直前に受け取った2回分の利息に0.79658を乗じた「中途換金調整額」を差し引かれることになります。そうすると、解約の時期によっては、利息がほとんど得られないこともありますので、注意が必要です。
国債は「国が元本を保証してくれるから安心」と安易に考えず、リスクやデメリットについても、確認してから購入することが大切です。また、どの金融商品も必ずリスクがありますので、資産運用は必ず分散して行うようにしましょう。
出典:
総務省ウェブサイト「個人向け国債」
Text:藤丸 史果(ふじまる あやか)
ファイナンシャルプランナー