最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2017.10.03
資産運用

資産かキャッシュフローか

老後を心配するご相談は尽きません。昔と違って定年退職したことによる現役からの引退から人生を終えるタイミングまでの期間が20年~25年と長くなるにつれて、資産寿命がクローズアップされざるを得なくなっています。そこで興味深い事例を比較したいと思います。
柴沼直美

Text:

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

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柴沼直美

執筆者:

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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資産があっても不安

 
お仕事をパートでつないでこられた60歳目前の独身女性。ご両親と同居していて介護生活が長かったため、正社員として就労する機会を逸したまま今に至ったという例です。ご両親が遺してくれた金融資産は預金のみで6,000万円だそう。

ご両親を見送った後、外のつながりは昔から住んでいるのでご近所付き合いのみ。お一人で郊外の一軒家に住んでいます。

今後のことは老齢年金の支給はないので、80歳まで生きたとしたら大丈夫なのかどうか?時々は不安に思うようですが、社会に出た経験がないため、ご自身で行動を起こしていくこともせず、不動産を含め名義変更もすべて丸投げ、唯一のよりどころである定期預金と普通預金合計6,000万円の金融資産についても積極的に運用はしないというスタンスです。

 

家計のキャッシュフローが回る=血液が循環する

 
この方が漠然と不安に思われるのは、6,000万円が唯一の拠り所で、キャッシュインフローがないところです。老後が心配と言われているご相談者にとっての一番の安心材料は定期的に入ってくる「老齢年金」です。家計も人間の体と同じで、内臓の機能は血液が循環することによって保たれています。

確かに、生命保険文化センターからの調査報告等で、ゆとりある老後の生活はご夫婦二人だと35万円、これがお一人の場合は0.7掛けでおおよそ25万円が月額必要だといわれています。ざっくり計算すると、この方の場合は、25×12×27=8,100万円と試算されます。

ここで、もしこの方に老齢基礎年金が支給されるとすればおおよそ2,000万円となり、預貯金と合わせればなんとかやっていけそうだ、ということに落ち着きます。

ところが金融資産という「静止状態」の資産のみで、確かに何もしなければ大きく棄損する心配もないでしょうが、増える可能性もありません。

老後の心配は、加齢とともにこれまでの自分の身体データベースでは予測できない病気に罹患する可能性が発生するため安心としてのバッファがほしいところです。このような女性が、その必要性を認識して、前に一歩進んでいただくことを決断していただく時間的余裕はあまりないのです。
  
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表



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