更新日: 2019.06.19 セカンドライフ

【老後2000万不足】から考える、老後資金を準備する前に確認したい「我が家のケース」

執筆者 : 馬場愛梨

【老後2000万不足】から考える、老後資金を準備する前に確認したい「我が家のケース」
ニュースで「老後2000万円不足」などと聞いて、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。実は将来もらえる年金額には、かなり個人差があります。老後に2000万円なくても十分暮らせる方もいれば、逆に2000万円ではまったく足りないような方もいるのです。
 
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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「2000万円不足」であわてない!大事なのは例ではなく「わが家の場合」

金融庁の金融審議会が出した報告書には、高齢で無職の夫婦が2人で生活する場合、収入が約21万円、支出は約26万円という例が出てきます。毎月のマイナスが5万円ですから、これを30年続けると5万円×12ヶ月×30年=約2000万円という計算です。
 
この例では、2人の月収のうち年金によるものは約19万円とされています。しかし、夫婦ともにずっと国民年金の方なら、多くても13万円ほどです。夫婦ともに厚生年金でガッツリ働いていたなら、30万円ほどもらえるケースもあります。
 
今は独身の方も増えていますし、いろいろなライフスタイルの方がいます。大事なのは、「2000万円足りない!」と焦るのではなく、まず冷静に自分の場合はいくら足りないのかを考えてみることです。
 
毎月の支出額はきちんと家計簿をつけて管理していても、将来入ってくる年金額について知っているという方は少ないのではないのでしょうか。
 
老後にもらえる年金額は、職業(自営業等なら国民年金、会社員等なら厚生年金)、年金保険料を支払った期間、厚生年金なら現役時代の収入などによって違ってきます。
 
今後の法改正で変わる可能性もあるので、年齢によっては現時点で正確な金額を算出するのは難しいかもしれません。
 
でも、ざっくりとでも自分の将来の収入と支出を見通すことができれば、漠然とした不安を抱えて終わりではなく、いくら必要でどうやって用意すればいいのか、具体的な対策を練ることができます。 
 

わが家の将来の年金額を調べる方法

日本年金機構は、国民年金や厚生年金の加入者に年に1回、その人の誕生月に合わせて「ねんきん定期便」というお知らせを送っています。それを見ると、今までの納付履歴や、将来もらえる年金の見込み額などが書いてあります。
 
たいていハガキ形式になっていますが、35歳・45歳・59歳を迎える方には、より詳しい内容を記載した封書が届きます。この書類が見当たらないという場合、「ねんきんネット」でも同じ内容を確認できます。
 
「ねんきんネット」は、年金番号などを入力してログインすれば、パソコンやスマホで自分の年金の詳細が確認できるしくみです。もしこのまま働いたときは何歳からいくらもらえるかなど、自分の希望に合わせていろいろな試算をすることができます。
 
ネットは苦手、専門用語が出てきたらわからなくて困る……という方には、電話で質問や相談ができる「ねんきんダイヤル」もあります。
 
年金事務所の窓口に直接行っても、もちろん相談できますが、平日昼間に時間を作るのは難しい方もいらっしゃるでしょう。将来の年金額を知る方法はいろいろ用意されていますので、自分が一番楽に感じるやり方で確認してみてください。
 

老後足りない分はどうすればいい?

老後の収入と支出がわかれば、いくら不足しそうかもわかりますね。足りない分を補う方法は、貯金や退職金だけではありません。
 
老後の収入を増やす方法としては、年金をもらい始める時期を遅らせる、個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用する、若いうちから資産運用や投資を勉強して、地道に増やすなどがあります。
 
すでに老後に入ってからでもできて、もっとも無理がないのは「老後も働き続ける」ことかもしれません。夫婦2人で年収200万円を10年続ければ、2000万円の不足も補えます。
 
支出を減らすといえば節約ですが、これは老後を迎えていなくても今からできることです。老後は医療や介護にお金がかかるかもしれません。
 
現役世代のうちに生活水準を上げすぎたり、一括でドサッと振り込まれた退職金に舞い上がって使い込んだりしてしまうと、あとから落差でつらくなってしまいます。きたる老後に向けて、焦らず計画的に、無駄なく、無理なく、まず今できることから備えていきましょう。
 
参考
金融庁HP 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の公表について
 
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表