更新日: 2020.04.01 その他年金

遺族年金が時効になることも?受け取るにはいつまでにどんな請求手続きが必要?

執筆者 : 三藤桂子

遺族年金が時効になることも?受け取るにはいつまでにどんな請求手続きが必要?
年金は受け取ることができる要件を満たすと、自動的にもらえると思い込んでいる人が多いのではないでしょうか? 年金は自分で請求手続きをしなければ、受け取ることができません。
 
今回は【遺族年金】についてお伝えします。前回の【障害年金】と同じく、日本年金機構から申請の通知が届くことはありません。
 
なぜなら家族が亡くならない限り、遺族年金の請求をすることがないからです。遺族年金は一定の要件を満たした遺族が請求しなければ、年金を受け取ることができません。
 
老齢、障害年金と同様に、遺族年金の時効も5年です(死亡一時金は2年)。受け取ることができる要件を満たしていても、何も手続きしないで5年を過ぎてしまうと、時効で受け取ることができなくなってしまいます。請求日からさかのぼることができるのは5年です。
 

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三藤桂子

執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)

社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士

大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験。会社員の時、年金の仕組みに興味を持ち、仕事で役立つことがないかと社会保険の勉強をはじめ、出会った方のご縁もあり、開業。
社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、“社員に好かれる会社”、“社員に寄り添う会社”の実現を目指す。
年金の知識を強みに、会社の顧問、セミナー、個別相談などを行う。

https://fp-keiko.com/

遺族年金とは?

遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった人が、亡くなった場合、一定の要件を満たすことで、生計を維持された遺族に支給されます。
 
遺族基礎年金は「子」または子と生計を同じくする「子のある配偶者」に、遺族厚生年金は、配偶者、子、父母、孫、祖父母であり、妻以外は年齢要件などを満たしていることが必要です。
 
また遺族基礎年金、遺族厚生年金とも、亡くなった人の被保険者等の加入期間や保険料の納付要件などを満たしていなければ、遺族年金を受け取ることができません。

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遺族基礎年金を請求するには?

遺族基礎年金を受け取ることができる人は、国民年金の被保険者等が亡くなった場合、その人に生計を維持された「子」または「子のある配偶者」に支給されます。さらに亡くなった人が次のいずれかの条件にあてはまることが必要です。
 
(1)国民年金の被保険者が亡くなったとき
(2)国民年金の被保険者であった人で、日本国内に住所のある60歳以上65歳未満である人が亡くなったとき
(3)老齢基礎年金の受給権者であった人が亡くなったとき
(4)老齢基礎年金の受給資格期間を満たした人が亡くなったとき

 
(1)、(2)にあてはまる人は保険料の納付要件にも該当することが必要です。死亡日の前日において、死亡月の前々月までの被保険者期間中に保険料の納付済期間等が3分の2以上あること、または2026年(令和8年)3月までに65歳未満の人が死亡日の前々月までの1年間に、保険料の未納がないことです。
 
(3)、(4)にあてはまる人は、国民年金の保険料納付済期間などが原則25年(300月)以上満たしていなければなりません。
 
「子」については18歳到達後の最初の年度末までの間、もしくは20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にある子です。さらに婚姻していない子が対象となります。

遺族厚生年金を請求するには?

遺族厚生年金を受け取ることができる人は、厚生年金保険の被保険者等が亡くなった場合、その人に生計を維持され、一定の要件を満たした遺族に支給されます。さらに亡くなった人が次のいずれかの条件にあてはまることが必要です。
 
(1)厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき
(2)厚生年金保険の被保険者であった人が、被保険者であった間に初診日のある傷病が原因で、初診日から5年以内に亡くなったとき
(3)障害等級1級または2級の障害厚生年金を受けている人が亡くなったとき
(4)老齢厚生年金の受給権者であった人が亡くなったとき
(5)老齢厚生年金の受給資格期間を満たした人が亡くなったとき

 
(1)、(2)にあてはまる人は、保険料の納付要件にも該当することが必要です。
 
死亡日の前日において、死亡月の前々月までの被保険者期間中に保険料の納付済期間等が3分の2以上あること、または2026年(令和8年)3月までに65歳未満の人が、死亡日の前々月までの1年間に保険料の未納がないことです。
 
(4)、(5)にあてはまる人は、保険料納付済期間などが原則25年(300月)以上満たしていなければなりません。

遺族年金の請求

遺族基礎年金のみ請求する場合は「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)」、遺族厚生年金も請求する場合は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)」に記入し添付書類を用意します。請求手続きは、お住まいの市区町村(遺族基礎年金のみ)や年金事務所などで行います。
 
主な添付書類は以下のものです(請求する人の立場や年齢などによって必要になる書類が異なります)。
 
・年金手帳、年金証書等(亡くなった人、請求者)
・戸籍謄本・戸籍全部事項証明書(亡くなった人は除籍)
・住民票の写し、住民票の除票
・所得証明書
・死亡診断書
・印鑑、預金通帳
・未支給年金・保険給付請求書
・学生証、健康保険被保険者証など

忘れがちな「未支給年金」

亡くなった人に支払われるはずであった年金が残っている場合、「未支給年金・保険給付請求書」を年金事務所に提出することで、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族に年金が支払われます。未支給年金を請求できる遺族は配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族です。
 
例えば、年金を受け取っている人が10月25日に亡くなった場合、10月分の年金が未支給のままとなってしまいます。
 

まとめ:困ったときには相談しましょう

遺族年金は、年金請求書や申請のお知らせが届くことはありません。大切な家族を亡くした悲しみと、これからの生活や仕事のことを考えると、不安になることもあるでしょう。亡くなった人の立場や家族構成によって、支給される遺族年金の額も変わってきます。
 
遺された人が年金を受け取る要件を満たしていても、請求しないまま5年が過ぎてしまうと時効で受け取ることができなくなってしまいます。困ったとき、分からないときは、お近くの年金事務所や行政機関に相談しましょう。または、年金に詳しい社会保険労務士に相談してみてください。
 
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士