最終更新日: 2019.01.10 公開日: 2018.07.19
老後

忍び寄る「老後破産」を防ぐ知恵は

執筆者 : 黒木達也

日本人の平均寿命は延び、今や「人生百年」といわれる時代を迎えようとしています。それだけ、誰にでも老後の生活は、長くなると考えておく必要があります。
 
そのため、金融資産はどれくらい必要か、年金以外の収入の手段はあるか、介護費用の準備はどうするか、といったことも心配になってきます。
 
それぞれ個人の条件も異なるので一概にはいえませんが、注意するポイントを挙げておきましょう。
 
 
黒木達也

Text:

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

黒木達也

執筆者:

Text:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

個人個人で条件は異なる

老後のためにどのくらい資金を確保できるかは、個人の事情で大きく異なります。いくら金融資産があれば大丈夫か、といった話がよく出ますが、個人の事情やライフスタイルの違いで、一概に決めることはできません。
 
例えば、退職時に住宅ローン残債を抱えている人とローンは完済している人、退職時に子どもが成人している人と教育費がまだかかる人、60歳で退職した人と70歳を過ぎても現役の人、これらはすべて前者のほうが、老後の準備は大変なことは理解できると思います。
 
特に早期退職、住宅ローン残高あり、子どもがまだ学生、といった条件が重なると、老後資金の準備は極めて大変です。
 
しかし、条件は異なっても、自分の生活範囲を考えて行動することで、老後破産の道から逃れるか、時期を大幅に延ばすことができます。
 
そのためには、1)現役時代に比べて節約を実践する、2)年金以外に収入の道を探索する、3)現在ある金融資産の管理・運用を心がける、の3点が当面必要で、特に3)をしっかり行うことが大切になります。
 

まず支出の見直しから始める

当然のことですが現役時代とは異なり、年金生活では支出をどう抑えるかが課題となります。定年後であれば、スーツなどの衣料品や交際費・娯楽費などは、ある程度は減少します。
 
ただし、現役時代の消費行動を変えられないでいると、預貯金はすぐに減っていきます。金融資産は5000万円以上保有しているから大丈夫と考え、油断をして支出を放置しておくと、少ない資産の人よりも将来的には破綻の危険があります。どの経費を削れるかを、真剣に考えましょう。
 
例えば、外食の機会を減らす、高級衣料品・高級服飾品の購入は控える、自家用車の保有はやめる、死亡保険中心に生命保険を見直す、といった中で、実行できるものから進めます。
 
特に消費行動が従来のままだと、金融資産が一挙に減少し、一直線で「老後破産」に突き進む可能性もあります。かなりの金融資産を保有している人ほど、生活のダウンサイジングができない傾向が見られます。
 

収入の機会は積極的に増やす

収入を増やすことも意識する必要があります。10年以上前までは「60歳定年」が主流で、定年後は主たる収入の年金だけで暮らす、と考えた人もいました。
 
しかし老後が長くなっていますので、公的年金の支給開始が65歳になるにつれて65歳までは働ける環境が整備されつつあります。
 
金融資産を保有しているからといって、「給与が低い」「自分の仕事に向いていない」などを理由に、職に就かない選択は避けたほうがいいでしょう。
 
「元の部下に使われたくない」「自分の能力はもっと高い」「80歳以上は生きないはず」として、就業の機会を自ら閉ざすことは避けたいものです。何歳まで生きるかは自分では決められません。
 
自分の想定した年齢よりも長生きするリスクを前提とした人生設計をしたいものです。
 
現在では、年金だけで暮らすのはかなり難しいですから、年金以外の収入はたとえ少額であっても受け取る習慣を身に付けましょう。自分自身への貴重な「お小遣い」にもなります。
 

【PR】今すぐの老後資金にお困りの方へ。おすすめリースバック

セゾンのリースバック

おすすめポイント

  • 安心のクレディセゾングループ!
  • 事務手数料・調査費用・礼金が0円!
  • 最短即日のお見積りも可能、ご契約まで最短2週間。

資産動向の継続的把握と運用

忘れてはならないのは、現在保有する資産を把握し、その変化を着実に見ておくことです。ご承知のように、今日では金融機関へ預金をしていても、利息はほとんどつきません。
 
実際に支出がどのくらいになるかをまったく考慮していないでいると、預金残高は減る一方で、すぐに老後破産の足音が忍び寄ってきます。そうならないためにも、次の点は考えておきましょう。
 
まず必要なことは、年金をはじめとする収入がどのくらいか、食費など支出がどのくらいかを把握し、預金口座、保険金額、証券口座など金融資産さらに不動産など、資産全体の変動推移がわかる台帳をつくり、定期的にチェックすることです。これにより年間の減少金額が把握でき、現在ある資産残高が何年持つのかが、容易に理解できます。
 
住宅ローンを抱えている、子どもの教育費がかかる、といった条件がある人は、この残高の減少が著しいはずで、放置すると何年後に破産してしまうかが読めてきます。
 
それを防ぐためには、支出を大胆に見直し、収入を増やす工夫が必要になります。時として不動産の売却が必要になるかもしれません。
 
住宅や子どもに経費が一切かからない人は、資産の減少も僅かで済むと思われます。その場合は、老後破産は回避できるでしょう。
 
年金生活となり安全な金融資産を保有したいと思い、銀行預金だけに資産を集中させるのは得策ではありません。保有資産額が増えないからで、「運用する」という発想が必要です。
 
例えば、ある特定の会社の株式に、資金の大部分を投入することはリスクが大きすぎますが、金融資産の3割程度は運用に回すのもいいでしょう。数社の株式に分散して投資をする、リスクの小さい投資信託や公社債を購入する、などで一定の配当収入を得ながら、多少の値上がりも期待できます。
 
これにより、保有する金融資産の寿命を延ばすことができます。リタイア世代には必要な発想ですが、現役世代でも、将来を見据えて、こうした行動を習慣づけておくといいでしょう。
 
最後に気を付けたいことは、老後の思いがけない出費です。
 
具体的には、子どもの結婚や孫の誕生による出費、自宅の老朽化に伴うリフォーム費用、病気や介護を必要になった際の費用などがあります。資金的な余裕があれば問題はないのですが、こうした事態に直面した際の対応も事前に考えておく必要があります。
 
Text:黒木 達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト。大手新聞社出版局勤務を経て現職