Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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生活費の範囲、上限を設定
一人暮らしに入る前は複数の収入源があり、基本的に自分一人の収入と貯蓄で生活していくことになります。
学校を卒業したばかりのフレッシュマンであれば、親や周りの人の支援を求めることもありますが、ミドルエイジでの離婚や初めての一人暮らしの場合、支援を求めることは期待薄。
しかも、今までの生活であまり意識していなかった一人だろうとかかる住居費や光熱費についてどう考えていいかわからないというご質問もよく聞かれます。
まずは上限を設定し、その範囲内での1カ月の生活は死守しなければなりません。仮に月給が手取りで20万円だとすれば、その60%、12万円を上限とします。
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最初の3カ月は思いきり節約を意識する
12万円で1カ月の生活費をすべて賄うと考えて、大きな出費項目から決めていきます。家賃を6万円とすれば一人暮らしでの生活は十分可能です。
しかし、想定外の出費というのはかかるものです(季節かわりのクリーニング代や、ちょっとした歯痛だと思って受診したら深刻な状況で長引いて治療費が保険適用外でかかってしまった場合等)。
最近の一番の注意事項は、通信費です。料金プランの選択の仕方や加入時期・切り替えのタイミングで大きく変わってきます。
この項目は家計を左右するぐらいの影響力を持つに至っていますので、情報収集に努めてください。
また、今までのように光熱費などは複数人であれば一人当たりのコストはそれほど目立たなかったものが、一人でも避けられないコストが多く発生するため、生活費はどうしても割高になることは認識しておかなければなりません。
ミドルエイジになってからの一人暮らしスタートでは、最低でも最初の3カ月はかなりの節約モードでペースをつかむ必要があります。
新卒の若いうちは、それまでの経験がないために順応しやすいのですが、ミドルエイジではこれまでの経験があだになってしまいがちです。
「今までの貯蓄があるから」とか「今月は特別」などといって上限を超えたり貯蓄に手をつけたりしてしまうと歯止めが利かなくなり、手取りの60%が80%、100%というようにルールがなし崩しになってしまいます。
巡航速度に移行してからも、自分の老後は自分で! を忘れずに
3カ月が経過して、1カ月の家計の収支が見えてきたら、財布のひもを緩めていいかというと、NOです。
これから、またどのような出会いがあるかわからないものの、自分の老後は自分で支えていかなければならない、ということを意識すれば、貯蓄は多いにこしたことはありません。
病気になったときに、代わりに働いてくれるのは皆さんが貯めてきた貯蓄だけです。年配になってから、病気になってからリスクをとった投資行動を起こすのは難しいものです。
安全・安心の投資スタンスでは、収益も限定的になりますので、原資は多いに越したことはありません。
一人で気軽な生活と同時に、しっかりコントロールするのは自分自身であることを常に忘れずに、先を見据えた行動が求められます。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表