更新日: 2019.01.10 セカンドライフ

ゆとりある老後を送る為の手段の1つとして「地方移住」という手段

執筆者 : 柴沼直美

ゆとりある老後を送る為の手段の1つとして「地方移住」という手段
これまで長年住み慣れてきた地方でも、定年などで職がなくなると急に拠り所が恋しくなるものです。

特に子どもが巣立って都会に移り住んでいると、たとえ子どもに迷惑はかけなくても、そばにいたい、孫の面倒を見て老後はゆったり暮らしたいと思う人も多いはず。そんな人たちの、これからの生活設計について考えてみました。

柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

1000万円の貯蓄で生活をしていくのは都会以上に難しくない

1000万円の貯蓄で不安を吐露する人は、モデルケースにこだわりすぎです。
 
自分の住宅をすでに持っている場合が多く、住居費がかからないことが最大の強み。平成25年の総務省統計局が発表した消費者物価の地域差指数によれば、東京都区部105.9、さいたま市103.3に比べ、北九州市96.6、秋田市97.3と地方都市の低さが目立ちます。
 
一方、年金支給額ですが、これは全国一律で、地方都市と都市部との差はありません。
 
さらに、地方都市では人口流出に歯止めをかけるため行政も高齢者向けのサービスには都市部以上に力を入れているところも多く、都市部で吸収できない要介護者を受け入れている実態からも明らかなように、受け入れ先についても、それほど心配する必要もないように思えます。
 
これらのことを考え合わせると、住み慣れたところで、気心の知れた知人とともに老後の生活を過ごしていくのは極めて現実的かつ妥当な選択肢ではないかと思われます。
 

移り住みたいと考えるのならば1日でも早いうちに

それでも、都会にいる子どものそばに、と迷っているのであれば1日も早い決断をお勧めします。特に今住んでいるところが20年、30年と長いのであればなおさらです。
 
人は思った以上に、新しい環境になじむのには時間がかかります。まして年齢を重ねるごとに柔軟性がなくなってきますので、何かにつけて不快さを実感します。それはやがて不満へと変わり、そのはけ口には必然的に子どもにぶつけることになります。
 
子どもとしても、自分たちの生活がありますから、そういった不満を吸収する余裕はありません。これを和らげるには「独立した」自分たちの生活設計を構築することです。
 
建物と違って自分たちの人間関係を作り上げていくには、時間がかかるのは明らかです。さらに、家賃など歳を取ってからの定期的な出費には想像以上にストレスがかかるものです。
 
物理的な環境よりも、メンタル環境を中心に考えることが大切です。手っ取り早く計算した無味乾燥な数字ではなく「クオリティ・オブ・ライフ」をもとに、より自分らしく生きるために必要な要件を決めていきましょう。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA(ファイナンス)、
キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表

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