更新日: 2019.06.14 子育て

海外留学にも給付奨学金がある!「海外留学支援制度」を知ろう

執筆者 : 重定賢治

海外留学にも給付奨学金がある!「海外留学支援制度」を知ろう
海外の大学などに留学するときに活用できる給付奨学金が、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「海外留学支援制度」です。
 
海外留学支援制度で準備されている給付奨学金には2種類あり、ひとつが「協定派遣型」、もうひとつが「学部学位取得型」と呼ばれるものです。
 
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

短期海外留学に適用される「協定派遣型給付奨学金」

「協定派遣型給付奨学金」は、いわゆる短期の海外留学をする場合に適用される給付奨学金です。大学などの高等教育機関が、諸外国との学生交流に関する協定にもとづいて、在学している学生を派遣先大学に8日以上1年以内の期間で派遣する際に支給されます。
 
支給を受けるには以下の要件があります(※1)。
 
(1)日本国籍を有する者、または日本への永住が許可されている者
(2)学生交流に関する協定にもとづき、派遣先の大学などが受け入れを許可する者
(3)経済的理由により自費のみでの派遣プログラムの参加が困難な者
(4)派遣プログラム参加にあたり、必要な査証を確実に取得しうる者
(5)派遣プログラム終了後、在籍大学などに戻り学業を継続し、在籍大学などの学位を取得する者または卒業する者
(6)学業成績が優秀で、人物などに優れている者
(7)派遣プログラム参加のために本制度以外の奨学金などを受ける場合、その支給月額の合計額が、本制度による奨学金月額を超えない者
(8)外務省の「海外安全ホームページ」上の「レベル2:不急不要の渡航はやめてください。」以上に該当する地域以外に派遣される者
 
(3)「経済的理由により自費のみでの派遣プログラムの参加が困難な者」と(6)「学業成績が優秀で、人物などに優れている者」を見ると、これまでお伝えしてきた貸与奨学金や給付奨学金と同じく、家計基準・学力基準があることが分かります。
 
気になる奨学金の金額ですが、派遣される地域によって異なります。
 

 
また、一定の家計基準を満たした者に対し、渡航支援金が16万円給付されます。
 

海外の大学で学士号の取得を目指す場合に適用される「学部学位取得型給付奨学金」

協定派遣型給付奨学金は短期の海外留学を対象としていますが、「学部学位取得型給付奨学金」の場合、高校などを卒業して海外の大学で学士号を取得することを目指す場合に給付されます。
 
このようなことから、学部学位取得型給付奨学金の支援期間は原則4年間となっています。学部学位取得型給付奨学金では、資格要件として、いわゆる家計基準や学力基準が設定されています。
 
たとえば、英語圏の大学に留学する場合、TOEFL iBTの得点が80点、またはIELTS6.0以上の水準を満たすといった語学能力基準や、高校などの学業成績基準が3.7以上といった学力基準、また、親御さんの所得が原則2000万円以下といった家計基準があります(※2)。
 
奨学金の金額は留学先の地域によって異なりますが、指定都市では11万8000円、甲地区では8万8000円、乙地区では7万4000円、丙地区では5万9000円となっています。
 
また、授業料への支援もあり、1万米ドル相当までは実質額が支給され、それを超える場合は追加で支給されることもあります。ただし、年間で250万円を上限としています。
 

給付奨学金の情報を得て子どもの留学に備えよう

このように見ていくと、短期留学よりも長期留学の方が、より手厚く給付奨学金による支援が受けられるようになっていることが分かります。
 
海外への留学生を増やそうという国の政策ではありますが、教育・進学資金の観点から「留学」を見ると、やはり多額の出費です。
 
採用される条件はかなり厳しいですが、このような国の支援もあるという情報を知っておくだけでも、お子さんが進学する前のライフステージで準備を整えやすくなるのではないでしょうか。
 
次回は「国の教育ローン」についてお伝えしていきます。
 
出典:※1 独立行政法人日本学生支援機構「海外留学支援制度(協定派遣)
   ※2 独立行政法人日本学生支援機構「2019年度海外留学支援制度(学部学位取得型)募集要項」
 
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
 

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