公開日: 2020.10.10 暮らし

いざというときのために知っておきたい。家族が亡くなったときに受け取れるお金って?

執筆者 : 黒木達也 / 監修 : 中嶋正広

残念ながら誰にでも死は訪れるものですが、そのときに遺族は、悲しみの中、各種の手続きをしなければなりません。身内が亡くなると、葬儀の段取りなど慌ただしくなりますが、亡くなった人が受け取るべきお金が、手続きをすれば支給されます。生命保険はあらかじめ加入していることが条件ですが、ここでは誰でも受け取り可能なものを紹介します。
黒木達也

執筆者:

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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中嶋正広

監修:

監修:中嶋正広(なかじま まさひろ)

社会保険労務士、行政書士
長野県松本市在住

 

 

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黒木達也

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執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。

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中嶋正広

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監修:中嶋正広(なかじま まさひろ)

社会保険労務士、行政書士
長野県松本市在住

 

 

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公的健康保険から出る「葬祭費」

誰かが亡くなると、遺族は葬儀や納骨の準備をしなければなりません。コロナ禍の影響で、葬儀が非常にシンプルになる傾向がありますが、それでもかなりの出費です。
 
公的な健康保険に加入者(被保険者という)やその家族が亡くなった場合に、葬祭費用などが支給される制度があります。亡くなった人が、国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していると、「葬祭費」の名目で5万円前後支給されます。支給額は運営する自治体により多少差があります。
 
会社員や公務員が加入している一般の健康保険組合でも、「埋葬料」などの名目で5万円またはそれ以上の金額が支給されます。葬儀代、火葬代、霊柩車代、僧侶へのお布施などの葬儀にかかった経費を申告します。また加入者の扶養家族が亡くなった場合も、埋葬料を受け取ることができます。本人の死亡後2年以内に申請が必要です。
 
葬祭費や埋葬料を受け取るには、葬儀を実施した後に手続きをします。国民健康保険や後期高齢者保険の葬祭費を受け取るためには、支給申請書、故人の保険証、印鑑、マイナンバー確認証、埋葬を実施した事業者の確認書類などをそろえ、市区町村の窓口で手続きをします。
 
一般の健康保険組合の場合も、そろえる書類に多少の違いはありますが、支給申請書、故人の戸籍謄本、埋葬許可証などを組合の窓口に提出します。もし故人に家族や親族がいない場合でも、葬儀を主催した人が、かかった費用の証明ができれば申請できます。
 
現役の会社員や公務員が亡くなった際には、多くの場合、勤務先から勤続年数に応じて「弔慰金」「退職一時金」が受け取れます。手続きは、故人の勤務先に連絡するだけで支給されることが多く、比較的簡単です。

高額療養費と高額介護費用

亡くなった人が病気療養で多くの治療を受けていると、医療費も高額になります。高額医療費制度では、病院などに支払う医療費が、投薬や高度な手術などで一定額以上かかった場合は、超えた金額について加入する後期高齢者医療保険などから別途補填されます。本人の死亡後でも、高額療養費の未払い分を遺族が請求できます。
 
例えば、東京都の後期高齢者保険では、1割負担の人は、外来で1人月額1万8000円以上、入院費や家族医療費の合算で5万7800円以上ならば、払い戻し対象になります。現役並み3割負担の人の基準はこれよりは上がります。自治体により返金方法は異なりますが、条件を満たしていると本人の指定口座に振り込まれます。
 
これらの還付金は3ヶ月程度遅れて振り込まれるため、本人が亡くなると宙に浮く可能性があり、これを遺族が手続きをすることで受領できます。ただし現役世代が加入する健康保険組合の高額医療費制度は、自動的に振り込まれる制度はありません。亡くなる直前の分を確認し、遺族が組合に申請する必要があります。
 
介護費用についても同様の仕組みがあります。介護サービスを受けている本人の支払額が算定基準額を超えていると、その差額分が本人の口座に介護保険を運営する自治体から支払われます。これについても未支給分があれば、遺族が受け取ることができます。

老齢年金の未支給分を請求

亡くなった人の年金の支給停止手続きをせずに、死亡届だけを出してしまうと、本来受け取れる老齢年金などが未支給になる危険があります。
 
老齢年金などの年金支給月は、通常2ヶ月に一度の偶数月の15日です。例えば6月15日に入金される年金は、4月分と5月分の年金です。もし6月5日に亡くなった場合は、6月15日に支給される4月・5月分と、8月15日に支給される6月分の合計3ヶ月分が受け取れます。
 
未支給の年金は、遺族が手続きをすれば受け取れます。最寄りの年金事務所で、死亡届を提出済みであることを伝え、未支給年金の手続きをします。請求資格のある人は、原則「生計を同じにしていた家族」となるため、配偶者が最優先されます。
 
子どもなどが代わりに出向くときは委任状が必要です。持参書類は、故人の年金手帳、預金通帳(振込確認を兼ねる)、戸籍謄本(身分確認のため)、住民票(生計同一確認のため)などが必要になります。故人の死後5年以内に手続きをすれば受け取れます。
 
故人が1人暮らしの場合、別居している子どもなど親族が受け取る際には、別途「生計に関する申立書」などの書類が必要になり、手続きが煩雑になります。3ヶ月分の年金だと50万円近くになりかなり高額です。

遺族年金を受け取る手続き

国民年金の加入者が亡くなったときは、配偶者などが「遺族年金」を受け取ることができます。子どもがいる配偶者または18歳未満の子どもが対象で、遺族基礎年金が支給されます。対象となる子どもの人数に応じて、配偶者が受け取る金額が加算されます。ただし、子どもがいないか、または18歳以上の配偶者に対しては「寡婦年金」が支給されます。手続きは年金事務所です。
 
厚生年金の加入者は、遺族基礎年金を受給できた上に、遺族厚生年金を受け取ることができます。故人と生計を維持していた配偶者と18歳未満の子どもの優先順位が高く、まず受給できます。どちらもいない場合は、父母、祖父母、孫のうち誰か1人が受け取ることができます。また妻が受け取る場合は、条件によっては「中高年寡婦加算」がつきます。
 
遺族年金の仕組みは複雑です。加入している年金制度や、残された遺族の実情により異なってきます。年金事務所に出向き、まず実情を相談することをお勧めします。持参する書類なども、条件により異なりますので、よく確認してそろえる必要があります。
 
執筆者:黒木達也
経済ジャーナリスト
 
監修:中嶋正廣
行政書士、社会保険労務士、宅地建物取引士、資格保有者。

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