更新日: 2020.04.20 その他

「枚数を割増してサービス」していた回数乗車券。新しく始まった「枚数は変えずに金額をサービス」するタイプとは?

執筆者 : 上野慎一

「枚数を割増してサービス」していた回数乗車券。新しく始まった「枚数は変えずに金額をサービス」するタイプとは?
モノやサービスをまとめて買うとサービスが付くことは、よくあります。交通機関の「通勤定期券」もその一種ですが、月に20回程度も往復利用しないとモトが取れないことが多いのが実態です。

上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

鉄道の回数券のおトク度とは?

そこまでの利用頻度がない場合でも、“まとめ買い”しておトクになるのが回数券(回数乗車券)でしょう。例えば、東京メトロで販売されているものは、次の3つのタイプです。
 
<普通回数券>
・発売金額など  乗車区間の普通運賃を10倍した額で11枚
(割引率:約9.1%)
・利用時間など  制限なし
・設定      大人、小児
 
<時差回数券>
・発売金額など  乗車区間の普通運賃を10倍した額で12枚
(割引率:約16.7%)
・利用時間など  平日の10時から16時
土曜、日曜、祝日、休日、12月30日、12月31日、
1月 2日、1月3日の終日
・設定      大人
 
<土・休日割引回数>
・発売金額など  乗車区間の普通運賃を10倍した額で14枚
(割引率:約28.6%)
・利用時間など  土曜、日曜、祝日、休日、12月30日、12月31日、
1月2日、1月3日の終日
・設定      大人
 
例えば、大人普通運賃で切符200円(ICカード199円)の区間ならば、おトク度は次のようになります(小数点以下は四捨五入して単価を表示)。
 
<普通回数券>:11枚
 ・1枚あたり182円(切符より18円割安)
<時差回数券>:12枚
 ・1枚あたり167円(切符より33円割安)
<土・休日割引回数券>:14枚
 ・1枚あたり143円(切符より57円割安)
 
有効期間は発売日から3ヶ月で、同じ運賃区間であればどこでも使えます。さらに金券ショップに行けば、上記が例えば【普通回数券190円、時差回数券180円、土・休日割引回数券170円】といった価格でバラ売りされていて、1枚から利用することもできます。
 
かなりおトクな料金設定で、バラ売りを買えばその都度だけの利用もできるなど、使い勝手も悪くないといえるでしょう。なお、JR東日本の普通回数乗車券は200キロ以内の区間で発売されていますが、乗車区間が指定されているタイプです。
 
また多くの私鉄などでも3タイプが発売されていますが、乗車区間が指定されているケースが少なくありません。

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今年4月から登場した新タイプとは?

このような従来の鉄道回数券に比べて少しユニークなのが「小田急電鉄チケット10」(※)で、今年4月1日から発売開始されました。従来と同じく3つのタイプが用意されていますが、その特徴は次の点です。
 
(1)枚数は3タイプとも10枚に統一
(2)有効期間は2ヶ月に統一
(3)枚数分の各回数券のほかに、使用条件などを記載した「表紙券」を1枚発行
 
(1)ですが、従来は価格を統一(10枚分)したうえで増やす枚数で割引率を変えていましたが、枚数を10枚に統一し価格で割引率を変えているのが特徴。同電鉄の大人普通運賃190円区間で1枚当たり単価(小数点以下は四捨五入)の変化を比較すると、次のとおりとなります。
 
            [従来回数券]   [新回数券]
<普通回数券>       173円       172円
<時差回数券>       158円       158円
<土・休日割引回数券>   136円       135円
 
(2)の有効期間は2/3に短縮され、少し消化しづらくなりました。そして、もっと気になるのが(3)です。新回数券は、従来と同様に磁気券対応の自動改札機を利用しますが、その際に先ほどの表紙券を持参しなければなりません。
 
表紙券を持つ人と同時であれば複数人での利用が可能ですが、利用の際に表紙券を確認される場合があるそうです。従来の回数券にはなかったことで、先ほども触れたような“回数券をバラ売りする行為”を制度上は閉ざしているようにも見えます。

まとめ

1枚当たり単価ではあまり変化はないようですが、従来よりも割引率は少し高まり(一部、割引率の変わらない区間あり)、10枚セットに統一したことで分かりやすくなったのです。
 
一方、有効期間が短縮され、何よりも表紙券の持参が義務化された点は、利用者にとって改良・改善とはいい切れない面があります。
 
今回の制度変更は、回数券発売について固定する対象を【総額】から【枚数】に変えたものですが、使い勝手の面でもかなりの変質が感じられます。他の鉄道会社にもこうした動きが広がっていくのかどうか、少し気になるところです。
 
※2020/04/20 記事を一部修正いたしました。
 
[出典]
(※)小田急電鉄株式会社「『小田急チケット10』3種を2020年4月1日(水)から発売します」
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士