更新日: 2019.07.20 その他

シェアリングエコノミーは5つに分類される?私達の生活との関係性とは

執筆者 : 植田英三郎

シェアリングエコノミーは5つに分類される?私達の生活との関係性とは
シェアリングエコノミーが、世の中を本格的に動かし始めていますが、前半では、シェアリングエコノミーとはどのような経済活動を指すのかということと、国内外での規模と経済効果について見てきました。
 
後半では、対象を高齢者に絞って、利用者として、また提供者として関わることのできるサービスについて確認していきましょう。
 
植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

高齢者とシェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーは、前半で記載しましたように、対象を「空間」「移動」「モノ」「スキル」「お金」の5つに分類し、その内容とサービス例が挙げられています(※)。
 
ここでは、高齢者が利用する、あるいは提供できるシェアリングサービスの対象と内容について、同じ5つの類型ごとに考えてみます。
 
・空間
住まいや駐車場が該当します。24時間無人駐車場は、すでにスタートして30年近くなり、最近は予約可能な新しいサービス(Akippa)が注目を集め、社会に定着しています。密集地で遊休スペースを持っている人には、提供者としての可能性があるのかもしれません。
 
一方で、遊休住居は民泊法が制定され、利用と提供の関係が法律のもと、明文化されました。大きな社会問題となっている「空き家」の解決のひとつの方法とも考えられます。
 
そのような中で、高齢者が所有している住居(マンション・戸建て)を民泊の施設に提供するケースがあります。住居所有の高齢者自身が、民泊のサービスの運営実務も担うのは、難しい場合も多いと思われますが、適切なしくみの中で提供者になることは、可能と思われます。
 
・移動
カーシェアとライドシェアが該当しますが、カーシェアは利用者として、今後飛躍的に増えることが想定されます。
 
都会地での自家用車の保有の経済的な損得の結果は、すでに明らかであり、保有からカーシェアへの流れは加速すると思われます。特に元気な高齢者においてカーシェアへの移行が進むと想定されます。
 
一方のライドシェアは、日本では「Uber」のサービスが法的規制や運輸業界の意向もあり、本来の形として広がっていません。都会地ではタクシーの配車サービスとして利用されていますが、地方都市や過疎地では本来のライドサービスとして、徐々に拡大していくと思われます。
 
特に地方都市は高齢者比率が高いこともあり、規制やタクシーとの関係をクリアして、良い制度としてライドシェアが広がってほしいものです。
 
・モノ
メルカリの高齢者の利用が増えており、他のサービス事業者を含めて出品者が増えることは確実と思われます。
 
ITに強い団塊世代が本格的な終活に入ると思われる2023年以降は、さらに利用者が増えることになるでしょう。また、高齢者に特化した新たなサービスも提供されることになると思われます。
 
・スキル
家事・育児・介護や、ビジネス時代の知識やさまざまな職人的スキルは、シルバー人材センターや民間の事業者の家事サービスの中で提供されています。この場合は、当然ながら提供者は対価を受け取ることになっています。
 
一方、ボランティアの世界でもこのようなスキルの提供は不可欠であり、社会の貴重な資源となっていますが、今後は無償ボランティアと共に、有償ボランティアの提供という形が広がっていく可能性があります。
 
・お金の共用(シェア)
出資や投資がお金の共用の原点という見方もありますが、ここではあまり積極的にリターンを求めないお金の共用と考えるのはいかがでしょうか。
 
事例としては、クラウドファンディングと寄付が考えられます。一般的な寄付は別にして、クラウドファンディングの資金の提供者(支援者)として、考えてみましょう。
 
ファンドの運用会社の事業歴や経営者と共に、募集先の事業主体や事業内容をよく調べることは不可欠ですが、支援先の社会的な必要性と事業プランを吟味した上での、自身の身丈に合った資金支援は、活動への参画意識にもつながります。
 
インターネットのスキルがある程度必要になりますが、比較的少額の拠出で世の中の動きを知る機会にもなるのではないでしょうか?
 

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まとめ

シェアリングエコノミー的な発想に基づくビジネスサービスは、今後も新たな対象・テーマが生まれてくると思われます。
 
少子高齢化が他のどの国よりも早く進みつつあるだけに、シェアリングエコノミーをうまく生かした社会のしくみができ、利用する人・提供する人がお互いにwin‐winの関係になれば良いのではないでしょうか。
 
出典
(※)総務省 平成30年版情報通信白書 第2章第5節「シェアリングエコノミーの持つ可能性」
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP
 

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