更新日: 2019.01.07 その他

2019年、お金栽培はじめませんか?

執筆者 : 柴沼直美

2019年、お金栽培はじめませんか?
金融相場はたいてい、アノマリーという理論的には説明できないけれど同じ値動きパターンを示し、それプラス、当初米国中間選挙の終了後、年末に向けて霧が晴れたように上昇することが予想されていましたが、今年は大きく違って上下不安定な動きとなっています。
 
柴沼直美

Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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「どうして予想とはずれたか」の原因を必ず整理する

2018年後半からフツフツと出てきた、上値を抑えている3つのバリアを整理しましょう。
 
1つ目は、言わずもがなの米中貿易紛争。2つ目は欧州と中国の景気減速。3つ目は特に最近目立っている米国の逆イールド。
 
このうち、1つ目の米中貿易紛争については、今後再選を狙うトランプ大統領が国民受けしない方向に進めることは考えにくいので、融和の方向になると予想されます。事実、先日の米中首脳会談では追加関税措置は見送られるという合意に至ったところも変化がうかがえます。
 
2つ目については、少し気になるところではあります。欧州は中国向けの輸出が大きいことから、中国の景気減速が欧州へも波及するとみられています。しかし、世界需要の要である米国の景況感が堅調であることから大きく落ち込むことは考えにくいでしょう。
 
3つ目の米国の逆イールドですが、これは市場の過剰反応かと思われます。景気拡大は循環的に終焉を迎える、ということで市場の思惑が繁栄される長期金利が低下、これに対して政策金利である短期金利は上昇。その結果、短期で調達して長期で貸し出しを行いその利ザヤで稼いでいる金融機関の収益圧迫から不透明感が大きくなったものと思われます。
 
しかし、11月のFOMC(連邦公開市場委員会)でのコメントで、緩和的にトーンが変わったことから徐々に落ち着いてくると思われます。
 

3つのバリアがはがれたら上昇になるのか

では、この3つのバリアがはがれたら、力強い上昇が2019年以降見られるのでしょうか。これを肯定することは難しいと思われます。なぜなら、需給環境が全く違うからです。
 
2017年以前であれば好環境であったにも関わらず、世界的超金融緩和のために需給的な不安が全くなかったのです。それに対して2014年10月末で量的緩和を終了、その後2015年12月から政策金利を引き上げていきます。
 
さらに年間6,000億ドルのバランスシート圧縮を通じて、市場資金を吸い上げています。金融相場は長期的には経済成長力によって、短期的には需供バランスによって決定されますが、もし短期的な売買によって収益をあげようと考えるならば、金融緩和時代のような上げというのは期待薄と考えた方がいいかもしれません。
 

経済成長力をベースにした長期保有と政治的要因による短期売買を取り入れる

2019年は基本、今あるネガティブ要因が薄らぐことによる上げは期待できるものの、大幅反発は難しいと考えられますが、こういったことが前提でもストレスなく安定的に投資収益を獲得するには、経済成長力をベースにした長期投資に、まだしばらくは続きそうな米中貿易紛争による値動きの上下を利用した短期売買を少し取り入れてみるといいかもしれません。
 
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者