更新日: 2019.01.08 インタビュー

東南アジアのベンチャー企業でCFOとして働く日本人 異国での仕事の楽しさと日本企業に必要なこととは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

東南アジアのベンチャー企業でCFOとして働く日本人 異国での仕事の楽しさと日本企業に必要なこととは?
今、東南アジアの成長を大きく支えようとしている、一人の日本人がいます。

鈴木健二さんは大学卒業後メーカーに就職し、ロンドンでMBAを取得しました。その後、日本のベンチャーキャピタルで取締役に就任、国内と海外のベンチャー投資業務で活躍されたのち、KWパートナーズを創業して独立されました。

現在はタイのスタートアップ企業Alpha Supply Chain Group(Alpha、登記上の本社はシンガポール)のCFO(チーフ ファイナンシャルオフィサー)としても活躍されています。今回は、東南アジアのベンチャー企業でのCFOの仕事について、鈴木さんにお話をお伺いしました。
FINANCIAL FIELD編集部

Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

タイのスタートアップ企業でCFOを務めることになったきっかけとは

鈴木さんがCFOを勤めるAlpha 社は、eコマースに特化した宅配便の会社です。eコマースとは、インターネットを通じた商取引(お買い物)のこと。創業者は40代のシンガポール人です。
 
タイを含めた東南アジアでeコマースが今後伸びていくため、eコマースの拡大に必須となる信頼度の高い宅配便の会社が必要だと考え創業されました。
 
スタートアップ企業がタイだけで資金調達することは難しく、創業者は日本からもお金を調達したいと考えたそうです。
 
その際に、創業者は、知人から日本でベンチャーファイナンスの経験がある鈴木さんの紹介を受けました。鈴木さんは、創業者に会い、事業に可能性を感じ、まずはファイナンシャルアドバイザーになりました。
 
2回ほど資金調達を手伝い、日本を中心にASEANから約5億円を集めたそうです。
 
その実績から、創業者と鈴木さんの間には信頼関係が生まれ、今から2年半前にCFOを任されました。今後も資金調達を行う予定です。
 

鈴木さんのお仕事スタイル。1カ月に1回タイに行き、1週間出社。タイの報酬は?

鈴木さんは非常勤のCFOで、1カ月に1回タイに行き、1週間から10日程度出社します。ただし、日本にいる間も頻繁にビデオ会議を行って、連携をとっているそうです。
 
従業員は350人ほど、マネジメントメンバーは鈴木さんを含めて6人。4人がシンガポール人、1人がタイ人、そして日本人の鈴木さんという構成です。
 
タイでの報酬が気になるところですが、シンガポール人の創業者はその辺りの理解があり、報酬とストックオプションで日系企業と同程度の報酬をもらっていると鈴木さんはおっしゃいます。
 

東南アジアのベンチャーに感じること、仕事の楽しさは

東南アジアのベンチャーについて感じることは、とてもスピーディーかつ、現地の現状に合わせてサービス・製品を開発し導入しているということ。
 
成長を続ける東南アジアで、会社や自社サービスが発展していくことを感じるのが楽しいと鈴木さんはおっしゃいました。
 
東南アジアのベンチャー企業は資金調達のノウハウがまだ十分ではないため、日本とアメリカで投資の仕事をしてきた自分のノウハウが、その成長を手伝っていると実感するそうです。また、日本の投資家のネットワークも活用されているといいます。
 

東南アジアのスタートアップ企業との付き合い方。日本はスピードを上げるべき

東南アジアの多くの会社は、日本に対して「資金や高い技術を持っている」という良いイメージを持ち、日本の企業とうまく付き合いたいと考えているそうです。
 
そのため、ビジネス提携に加えて、資本の提携を行いたい企業は多いと鈴木さんは言います。
 
日本の企業に必要なことは、もっとスピードを上げること。日本は他の国と比べて意思決定が遅いといいます。
 
日系企業のトップが自ら東南アジアにも人間関係を築き、情報をいち早くキャッチし、肌感覚で東南アジアビジネスを理解すれば、スピードを上げることができるのではないかといいます。
 

今の仕事は自分の役割を全うできる、自分の天職

鈴木さんの勤めるAlpha社は、タイのバンコク首都圏の個人向け宅配部門では3番目に大きい会社になったそうです。鈴木さんの企業をはじめとして、東南アジアには新しい風が吹いています。これからの成長がますます期待されます。
 
鈴木さんは、今の仕事は自分の役割を全うできる仕事で、天職に感じるとおっしゃっていました。自分の積み重ねたノウハウや実績が周りに影響を与え、成長を手伝うというのは、とても素晴らしいことです。
 
華々しい活躍をされてきた鈴木さんからは、常に前へ前へと進もうとする高い志を学ばせていただきました。
 
Text:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。

ライターさん募集