更新日: 2019.01.11 相続税

家庭裁判所は相続案件でいっぱい? 財産が少ないからこそ「争続」になるケースも

執筆者 : 藤井亜也

家庭裁判所は相続案件でいっぱい? 財産が少ないからこそ「争続」になるケースも
家庭裁判所に勤める友人から聞いたのですが、ここ数年、家庭裁判所は相続案件でいっぱいとのこと。
 
離婚案件が多いのかと思いきや、相続に関する裁判が大半をしめているそうです。
 
藤井亜也

Text:藤井亜也(ふじい あや)

株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長

教育カウンセラー、派遣コーディネーター、秘書等、様々な職種を経験した後、マネーセンスを磨きたいと思い、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。
「お金の不安を解決するサポートがしたい」、「夢の実現を応援したい」という想いからCOCO PLANを設立。
独立系FPとして個別相談、マネーセミナー、執筆業など幅広く活動中。

<保有資格>
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ファイナンシャルプランナー(AFP) 、住宅ローンアドバイザー、プライベートバンカー、相続診断士、日本心理学会認定心理士、生理人類学士、秘書技能検定、日商簿記検定、(産業カウンセラー、心理相談員)

<著書>
「今からはじめる 理想のセカンドライフを叶えるお金の作り方 (女性FPが作ったやさしい教科書)」※2019年1月15日発売予定

子ども間の争いを防ぐため、相続対策について相談する人が多い

私もFPとしてご高齢のお客様に「資産の管理をする方はどなたですか?」と伺うことがあります。
 
すると、お子様がいらっしゃっても「子どもには絶対に任せたくない!」という方も多いのです。
 
理由を聞くと、子どもに任せると兄弟間で喧嘩になってしまうそうです。皆さん、ご自身でお金の管理ができなくなる前に対策をとりたいとご相談に来られます。
 
これまで築き上げた大切な資産を、できるだけ良いかたちで継承していきたいですよね。亡くなられた後に大切な家族が争うことになるのは避けたいものです。
 

財産が少ないからこそ「争続」になるケースも

相続が「争続」になってしまった時、“相続裁判”となります。
 
「家にはたいした財産がないから大丈夫」
 
と言われる方もいらっしゃいますが、財産が少ないからこそ争続になってしまうのです。
 

 
相続裁判の相続金額別の内訳
 
上記の図のように最高裁の調査結果では、相続での裁判は相続財産額1000万円未満が32%、1000万円~5000万未満が43%と大半をしめています。
 
これが意味していることは何でしょうか?
 
資産があるご家庭ほど、事前に相続対策をしているのかもしれません。逆に、資産が少ないほど、何も対策をとらなかったために、残された家族による争いが多いことを示しているのかもしれません。
 
500万円の相続財産を20名の相続人で争っているという話も聞いたことがあるくらいです…。
 

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「争続」にならないためのポイントは、資産を“分割”すること

残されたご家族が争続をしないよう、もめないポイントは数々あります。事前に対策することで、もめ事を軽減していきましょう。
 

<争続を回避するための対策例>

・資産を分配しやすいよう現金化しておく
・受取人を指定できる生命保険の活用
・税理士やFPに相談しておく
 
日本では分割しづらい不動産を所有している方が多いことから、争続になる事例が増えています。資産を不公平感なく分割できるよう、現金化や保険を活用するなどの対策をとることが重要です。
 
例えば、「家は長男に相続する」と決めたとします。他の相続人である次男や長女がいた場合、「なぜ長男だけに!」と一気にもめ事に発展します。
 
このような争いをなくすために、例えば次男には株を、長女には保険が受け取れるよう相続対策をしていたらどうでしょう。きちんと3人のことを考えてくれていたのだと子どもたちは感じ、「争い」ではなく「話し合う」ことができるようになります。
 
きっちり分けるのは難しいかと思いますが、1人に集中させるのではなく“分割”していることが重要なのです。
 

資産分割などは、できるだけ元気なうちに専門家に相談することが大事

資産分割などは専門家の知識を得ながら行うとスムーズです。節税対策などのアドバイスも受けることができます。争続にならないよう事前に税理士やFPに資産管理や相続について相談し、対策をたてておくことをお勧めします。
 
近年、認知症の方も増えており、ご本人の希望通りの資産分割ができないケースもあります。できるだけ元気なうちに資産管理や相続を想定した資産分割を専門家と相談し、ご家族が分かるように残しておくことが重要です。
 
私はいつも保険の見直しをする際も、受取人がご兄弟で偏りがないか、他の財産はどなたが継承するのかを確認しています。今でも相続は全て長男にという方も多いのですが、兄弟間でのバランスが悪いことで、その他の財産分与ももめてしまうことがあります。
 
争続の実例をお話しすることで、より具体的に対策について考えることができます。
 
これから益々、相続に関する問題は増えていくと予測されています。少しでも事前の対策をとり、ご自身もそしてご家族も安心できる相続ができるよう、参考にしていただきたいと思います。
 
Text:藤井 亜也(ふじい あや)
株式会社COCO PLAN (ココプラン) 代表取締役社長

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