更新日: 2019.03.12 その他資産運用

日本人は投資が嫌い? 貯蓄好き?

執筆者 : 安永光男

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安永光男

執筆者:安永光男(やすなが みつお)

金融ライター

Y’Sコンサルタンツ代表。大手損害保険会社勤務を経て現職

 

日本人は投資が嫌い

日本人が投資に目を向けないのは、日本人は貯蓄好きだからという一言で片づける人もいますが、日本での投資形成教育の欠如や個人の金融資産を安心して投資に回せる受け皿としての金融商品の欠如があったのも事実と思います。
この言わば「欠如の時代」に日本の家計金融資産の運用について当時の大蔵省(現金融庁)が欠如を埋めるべき指導指針を示さず、証券・銀行業界に任せ過ぎたのも又、銀行の国債買いを支える預金を積極的に投資に追い込むこともないという銀行と政府の暗黙の了解も「日本人の投資嫌い」を増加させた一因と思われます。

日本人は貯蓄好き

そもそも投資について知る必要がない、興味がないと考える人が日本に多いのは事実です。
日本が発展途上の昭和40年代には今から考えると夢のような高金利且つ複利で増やす定期預金もあり、銀行や郵便局の預金が一般的な運用手段ともなっていました。そのあと市中に溢れて行き場のないお金を生保が一時払い養老保険、損保会社が長期総合保険という保険らしくない貯蓄型金融商品で吸収していたこともあります。
しかしながらその後、髙利回りを謳歌した時代が終わりに近づいても、その預金は投資には余り向けられず、行き場のないまま預けられていました。これら資産の次の受け皿となるべき魅力ある金融商品も少なく、仕方なく銀行や郵便局の口座に置かれたままとなっていたのです。貯蓄好きというより安心して預けられる他の選択肢が無かったというべき状況であったと思います。

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日本の投資信託に不満

個別株の取引は怖いとの認識から少しずつ投資そのものから離れ始めた人や投資に目を向けていなかった人達を一時虜にしたのが小口でも投資できる金融商品の投資信託でした。日本の株式市場そのものが成長していた時は元本も右肩上がり、配当益も相応の成長を遂げ、皆が投資信託を買い漁るといったブームもありましたが、昨今は状況が変化しているようです。
買った投資信託で損をしているのか得をしているのか良く分からない、また投資信託に関わる手数料自体が大きくそれだけでも自分の資産が思いのほか目減りしているとの指摘や、相場が下落している局面ではいわば元本とも言える基準価格も下がり、何のための運用かと困惑されるケースも出ていると言われています。
政府がNISA, iDeCo(個人型確定拠出年金)など税制面で優遇策を打ち出す環境作りをしても、投資信託はそのメイン金融商品として弱点を克服出来ていないのです。一方欧米など海外に目を転じて見れば、投資信託(株式含む)は資産の30%前後まで買われていますので、日本では芳しくない投資信託が何故欧米では売れるのか考えてみましょう。

金融庁作成の資料によれば、規模の大きい投資信託の日米比較(純資産上位5銘柄)は以下の如く、販売手数料、信託報酬の差が著しいことが分かります。(1ドル=112.43円で換算)

注1)収益率:販売手数料を加味、分配金を再投資しないベースで計算
注2)手数料:日本は上限、米国は加重平均

米国と日本の大きな差

米国の投資信託は一般的に投資家の収益がある程度確保され、残りが信託報酬となるいわば成功報酬的な仕組みであるのに対して、日本の投資信託は分かり易く言いますと、投資家が仮に損をしても信託報酬だけは取られるという仕組みとなっています。この仕組みの大きな差が存在するので、米国では買われて運用の柱となっていますが、日本では一部の個人投資家に買われる人気投資信託を除けば総じて販売口数が伸びていないのも仕方ありません。
こうした背景もあって日本の家計金融資産の52%が現預金であり、米国に比べ投資信託等への投資割合が低い為、日本の家計金融資産が米国の家計金融資産の伸びに比べ著しく低いことの一因ともなっているのです。
金融庁のホームページで調べたところ、家計金融資産の伸びは1995年を1とした場合、2015年には米国が3.11倍となっているのに比べ、日本は僅か1.47倍と半分以下に過ぎないと判明しました。これは運用リターン推移が同時期米国の1.42倍に対して日本は1.15倍とあまり伸びていないことが影響していると考えられます。(米国FRB、日本銀行資料)

毎月分配型投資信託の是非

日本における毎月分配型の利回りが一時20%超と言われたある北米リートの投信も2016年にはFRBの利上げや円高の加速などもあり33%の投資信託が減配となったそうです(三菱アセットブレインズ調べ)。この金融商品は髙利回りのため一時大変人気がありましたが、減配となったことを受け、やはり再投資なしで分配金を出す弊害が出たのではないかと言われています。
その投信の直近配当利回りは3.4%程度と公表されており、販売手数料や信託報酬も考えれば相殺されてしまう恐れがある数字ですから、元本取り崩し以外に利回りが20%を超えることはあり得ないことがお分かり頂けると思います。

金融庁の27事務年度金融レポート

金融庁の27事務年度金融レポートでは、「一部の販売会社において分配金利回りランキングを公表する時、分配金利回りの高い投資信託の運用成績が良いとの誤解を与えかねない情報提供を行っている事例、また運用内容が同じ投資信託において、年1回から2回の決算分配型のものが有るにも関わらず経済合理性に欠ける毎月分配型による再投資を行わせている事例など、商品特性を正しく伝えた上で顧客に選択をさせているとは言い難い事例もある」と記載されています。
これからの投資信託販売の際には、年金受給者などが毎月分配型を如何に好きであろうと利益を再投資する運用型より当然不利だと説明、理解させることが求められていると言えましょう。

更に付け加えますと、投資信託の毎月支払われる分配金には元本の一部が取り崩される場合が「ある」と知っている人は僅か37%に過ぎないとの調査報告もあります(出所:金融審議会)。
これを買う側の理解不足の問題と捉えるのではなく、売る側すなわち証券会社、銀行、信託銀行、郵貯の問題そのものという考えで解消に向けスタートすべきと思います。窓口ではきちんと「説明している」と思いますが、63%もの顧客が理解していないという現実を深く受け止めてもらいたいものです。

最近、日本でもやっと「投信の見える化」が新聞の見出しに載る時代となり、一部のオンライン証券会社では手数料がどれだけ運用成績を下押ししているかこの2月下旬から開示するようですが、大手金融機関は未だこの動きに追随せず、説明資料の充実等で済ませたいと考えているようです。